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 八幡神社 絵馬の旅②「日清戦争凱旋兵士 水禍之図」
September2014

明治30年(1897)奉納 「日清戦争凱旋兵士 水禍之図」

前回は幕末に描かれた「大洲藩武成隊 奉納絵馬」を紹介いたしましたが、今回はその隣に掲げられている、明治30年奉納の「日清戦争凱旋兵士 水禍之図」をご紹介します。

吹き込む雨風などによってかなり色あせてしまっていますが、白壁の町並みに川と船、そしてその上に渡された板とたくさんの人らしき姿が見えるでしょうか↓(画像クリックで拡大)。

これは、明治27年に始まった日清戦争が終わり、明治29年6月、従軍していた大洲出身の将兵達が凱旋したときの様子を描いたものです。場所は、現在の肱川橋の少し上流あたり。当時の橋は浮かべた船の上に板を渡した浮き橋でした。橋を渡る凱旋兵士を出迎えようと数百人が一気に橋を渡りはじめたためにその重みでバランスが崩れ、多くの人が川に投げ出されてしまった様子が描かれています。私が昔話として聞いた話では、流れが速く大洲城下の淵あたりまで流された人もいたのだとか。

被害状況が気になるところですが、絵馬に書かれた解説文に「然れども一人の負傷も●ざりしは 実に不幸中の幸い(一部判読不能)」とあることから死者はおろかケガ人も出ずに済んだようです。戦火をくぐり抜けたのに、故郷に凱旋したとたんに悲劇が・・・なんて出来事でなくて本当によかった^^;

私(禰宜)が小さな頃(30~35年前)は、祖母や神社にいらっしゃる古老から何度が聞いた記憶がある話ですが、今はもう語る人もいなくなってしまいました。だからこそこの絵馬は、そのことを記す貴重な記録。地域の大切な財産としてしっかり守って参ります。

 

 

 

 


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